「怒り」

怒りは、幸福を破壊してしまう強靭な感情です

しかし、怒りの感情がすべてマイナスに働くとは限りません
人間はストレスがあることによって、充実感や達成感が生まれ、生きる張り合いを感じるという一面もあります

そんな怒りの正体は、何なのでしょうか?

もともと動物は危険なことに直面した場合、動物本能として逃げるか戦うか、生きていくために自分を守る働きが備わっています

人間は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感で、外部からの刺激を感知しています
五感で受けた刺激は、電気信号となって神経細胞を伝わり、脳の各部位で受け取られると、扁桃体という部位で脳に保持されている記憶と照らし合わせて、感情が生まれていくといわれます

負の感情の信号を出して脳は自分を守ろうとし、瞬時に偏桃体が危険を察知して、全身に指令を出します

筋肉を緊張させて臨戦態勢をとり、ホルモンの分泌を増やして身体機能を高め、心拍や呼吸を早くします

怒りはストレス反応と呼ばれる人間の防御反応で、この状態が続けば心身は疲労します。

怒りで発生するマイナスのエネルギーは、心身に様々な形で悪影響を与えます。
ストレスの中でもとくに興奮状態を招く感情ですから、身体機能と相関関係が深く、ストレス反応が起こると、交感神経が高まって自律神経のバランスが崩れることはよく知られています。

■すぐに怒りを書き出す

紙に書き出す作業は、自分を客観視するきっかけづくりになる上に、感情を整理することができるとされます

不快な感情は、まず紙に書き出してみましょう。

■鏡を見て自分の顔を確認する

怒りやイライラの感情は、ノルアドレナリンという脳内物質が作用しています。それが心を興奮させ、場合によっては頭の回転をよくさせるため、言葉が次から次へと出てきて相手を攻撃するのです。そういった感情を止める方法として効果的なのは、鏡を見るということです

心理学においては、鏡は自分を客観視させる一番のツールです

自分がどれだけ醜く怒っているかを見れば、ハッと目が覚めるので感情の変化が起きます

その場を離れる

職場でも家庭でも、怒りを感じたら、とりあえずその場を離れることで感情を鎮めることができます。
アンガーマネジメントでは、「タイムアウト」と呼ばれています

「感情が抑えられない」「ブチ切れる」と思ったら、なんでもいいからその場を離れます

気もちが落ち着いてから元の場所に戻りましょう。
アンガーマネジメントには、頭の中で「ストップ!」と唱え、思考を停止させることで怒りまかせの行動をとってしまうのを防ぐ「ストップシンキング」という手法もあるそうです

■6秒間だけ何もせずに待ってみる

イライラや怒りの感情の湧き起こりを、自分の中でコントロールする方法を、心理学においてはアンガーマネジメントと言います

人間の怒りの感情のピークは開始から6秒と言われていて、6秒以降からはイライラが収まり、冷静になれると言われています

人間は感情の生き物なので、論理よりも感情の方が速く表に出てしまうのです。だからこそ、6秒間だけ辛抱してみましょう

きっと怒りが冷めていることに気づくはずです

■深く息を吐き、息をゆっくりと吸う

深呼吸はストレスケアとしても健康法としても効果が認められているものですが、アンガーマネジメントでも「呼吸リラクゼーション」と呼ばれ、セロトニンを活性化させ幸福感を創り出すことが可能です

今、ここ

自分に内向できる状況であったら
1分間でいいので、今ここにいる自分に意識を集中します。
心理学では「マインドフルネス」、アンガーマネジメントでは「グラウンディング」と呼ばれています

簡単なやり方は、目を閉じて深呼吸を繰り返し、呼吸に意識を集中します
もしくは目を開けたまま、何かを手にして細かい部分までジーっと観察します

好きなことに没頭する

ストレスを忘れようとすれば、原因になっている負の刺激を思い出すことになるので、余計にストレスを溜めることになります
さらにストレスを引き起こす不快な刺激は、自分の意思とは関係なく降り注ぎますから、ストレスを消したりなくしたりすることはできません

ストレスケアでは、「不快」な感情を忘れるために、「快」の感情が起こる刺激を自分に与える方法がとられます
心地よいことや楽しいことをして、「快」の感情を感じて少しの間でも没頭する手段です

怒りの感情がわいたら、大好きな写真を見る、大好きな音楽を聴くなど、好きなことに没頭してみましょう

有酸素運動

有酸素運動は、やりすぎると体内の活性酸素を増やしてしまうことが指摘されており、ストレスケアを目的した場合には、ウォーキングやエアロビクスなどの軽い運動を10分程度行うのが効果的だといわれています

ストレッチは、筋肉を伸ばして血流をよくすることが目的です
全身の血流を改善して脳機能を活性化すれば、いろいろな方法で実践する怒りのコントロールがスムーズに行えるようになるでしょう

血流の改善は、怒りのコントロールに即効性もありますから、怒りがわいてきたらとりあえずその場を離れて、少し歩くと効果的だそうです

怒りの感情を抑えられないとリラックスなどできなくなります
交感神経ばかりが高まっていると、身体機能に重大な問題を引き起こしていろいろな病気の原因になります

怒りの感情をコントロールし気持ちを落ち着けましょう